浅葱色の約束。




「…違うよ…、土方さんは私のこと嫌いなんだよ」



私…、かぁ。

“僕”って言うの忘れてるよ、と言いたくなったけど今は黙っていよう。


君はどこから来たの?君は誰なの?

どんな場所で育ってどんなものを見てきたの?

聞きたいことはたくさんあるのに。



「坂本さんは…、敵なの…?」


「…うん。でも、それは新撰組から見たら敵。個人では…面白い人だなって僕も思うよ」



でもそれを聞いてしまったら君が居なくなってしまうような気がして。

それなら聞かない方がいいって、そう思った。



「坂本さんは…悪い人には思えなかった」



ほら、君はまた僕の知らない顔をする。


最近そんなものが増えた。

どんどん遠くに行ってしまうんじゃないかと感じるときがたまにある。

全然違う場所を、色んなものを知ってるんじゃないかって。


なんて考えすぎかな。



「じゃあ、僕達は…?」



梓は僕を見つめた。



「僕達は、…悪い人…?」



僕はきっと期待している。

そうじゃないって言ってくれるのを。



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