浅葱色の約束。




目を閉じた梓は、ふふっと優しく微笑んだ。

少し照れたようにはにかんで。


それでまた、僕を見た。



「あ、あのね、良い人とか、悪い人とか……そんなのに当てはめられないくらいに……、だ…、大好き…」



あぁ、離せないよこんなの。

離せるわけがない。

土方さんもそうだ。
近藤さんだって僕だって。


僕達にはこの子さえいれば、それでいい。


きっといずれそんなものが新撰組の信念に、誠になるような気がした。



「───ですって、土方さん」



うしろに隠れている存在へ、わざとらしく声をかける。



「…え。」



それに気づいた梓は咄嗟に僕の背中に隠れると同時、ばつの悪そうな顔をした男が姿を現した。



「お、怒りに来たんだ土方さん…」



ボソッと背中で聞こえる呟きが本当に怯えていて面白い。

お説教終わったはずなのに…と、僕の着物をぎゅっと握っては身を隠してるつもりなんだろう。



「わっ…!!」



そんな梓に土方さんは近付くと、胸ぐらを容赦なく掴んでまっすぐ見つめた。



< 141 / 464 >

この作品をシェア

pagetop