浅葱色の約束。
「大方、眼も治ってきたみたいだ」
誰の話だ、なんて聞かなくても察せられる。
怪我だらけだとしても毎日毎日仕事をサボらない懸命な姿は、俺だけじゃなく近藤さんも見ていたはずだ。
「さすがにあの姿はな、見ているだけでこちらがこたえる」
最初は包帯だらけだったが、日が経てば経つ程に回復していった。
若さ故の特権が羨ましくもあるが、だからこそあそこまで無様な姿にされたことにも苛立つのだ。
近藤さんも俺も。
「たまに思うんだ。梓の優しさをいつか俺は叱る日が来るんじゃないかと」
「叱る?褒めるの間違いだろ」
「いや、叱るんだ。それはきっと俺の役目なのだろうな」
いつの間にか本当に父親らしくなってんじゃねえよと、笑ってやりたかった。
だがこの人がそんなことを言ってくるなんて珍しい。
副長にしか言えない局長の弱音というやつか。
「でもそのとき、梓の傍にお前達が居てくれれば安心だよトシ」
「はっ、俺があいつを引き取れってか?ふざけんな勘弁しろ」
「はは、…総司にも同じことを言われたよ」
話が読めない。
あんたが拾って来やがったんだ。
あんただけはあいつの手を離すんじゃねえぞ───と、俺は言いたかったが言葉は出ない。