浅葱色の約束。
「お兄ちゃん…っ!!」
「咲…!!!」
兄妹の感動の再会とはいかないようだった。
暗い橋の下に捕らわれていた少女は、まだ10歳くらいの女の子。
朔太郎の妹だと聞いてはいたけど、なぜか違和感は消えてくれない、むしろ増えるばかり。
「助けてお兄ちゃん…っ!!」
上質な着物を着ている朔太郎と違って、咲は質素で地味なもの。
顔も似ているわけでもなく、普通に歩いていれば兄妹だとは思わない。
「ったく、どこまで邪魔してくれたら気が済むんや貴様らは」
そこに居たのは間違いなくあの男。
久しぶりに目にする極悪人。
「父さん…!なにをしてるんですか…!!」
「朔太郎。よーく見とき。お前の妹は孤児や、血の繋がりはないんや」
その柔らかな頬に小太刀を突き付け、ニタリと笑う。
朔太郎は信じられないものを目にして身を引きそうになっていた。