浅葱色の約束。




確かこの辺りだと思うんだけど…同じようなお店が並んでいて良くわからない。


そもそもこの絶望的な地図じゃわかるはずが無い。

…って思ったら、背中に悪寒が走ったような気がした。



「で、なにを頼まれたんや」


「和紙と墨なんだけど…」


「それならあそこやん」



ピッと指をさした先、昔ながらの建物の中にいる1人のお婆ちゃん。

老舗という印象の1つに墨や和紙はたくさん並んでいる。



「俺は生まれも育ちもこの町なんやから、さっさと言えばええのに」



確かにそうだった…。
朔太郎を連れてきて正解。

出会ったばかりの頃も、こうして町を案内されたっけ。


あの頃に比べると背が伸びた朔太郎。


前は私より小さかったのに、今では少し抜かされそうだ。

こうして男女の差はどんどん開いてしまうのかな。



「梓、江戸はどういうところなん?」


「…江戸は…こことあまり変わらないかな」


「なーんだ、そうなんか。でもいつか俺行きたいわ!そんときはお前も一緒に行くんやで!」


「うん。…いつか一緒に行こうね」



無事に頼まれたものを調達して城下町を歩く。


たくさんのお寺や神社、細い小道や石畳の道。

ここは本当に京なのだと。

そして、過去。
車も電車もない時代。



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