浅葱色の約束。
今はのちに幕末と呼ばれる時代らしい。
「腹減ったな。うどんでも食おか」
「お団子じゃなくて?」
「俺はガッツリ食いたいわ。ほんまお前は女みたいなんやから」
「沖田さんだって前に団子屋さんに連れて行ってくれ───…」
ふと、お店の前にズラリと並んだ装飾品に目が止まる。
こんなことしてたらまた女みたいだと言われてしまうのに、キラキラ輝くそれに目を奪われた。
「わぁ…、きれい…」
こういうの、付けたことがない。
お洒落とかもしたことがなく、服だって施設の年上のお姉さんからのお下がりだったから。
スカートとかも一切履いたことがなくて、パーカーばかり着ていたように思う。
どちらにせよこの時代にそんなものはなく。
「気になるんか?」
「…ううん、僕は男だし」
「男やろうが綺麗なもんは綺麗やん!お前のそんな顔見たことないで」
朔太郎に腕を引かれ、その前に立たされる。
どれも高価そうなものばかりの中で唯一目に止まったもの。
少し派手なようで淡い浅葱色をした首飾りは、彼等を思い出させた。