浅葱色の約束。
何分、何時間。
中には薄い毛布のようなものを置いてくれる人。
有り難く受け取ってくるまるように夜風を凌ぐ夏の夜。
「うちは世話出来ひんさかい、それで暖まりんさい」
「孤児かいな?ここに小銭置いとくわ」
そんな人の優しさをこの目で見たのは初めてだった。
今日はこうして1日を何とか乗り越えよう。
明日になったらまた歩けばいい。
必ずどこかに到着するはず。
だってもう殴られも蹴られもしないのだから。
私は死んだのだから。
そう思うと少し楽だった。
「───…」
だんだんと眠くなった私の前に、1人の影が現れる。
腰に刀を差す男は目線を合わせるようにしゃがんだ。
そして伸ばした手で毛布を少しだけ退かし、冷えた頬を撫でる。
「これはいかん。冷えているじゃないか」
驚く暇もなかった。
ただされるがまま、じっと見つめることしか出来ない。