浅葱色の約束。




こうして笑い合える日々がずっとずっと続けばいいのに。

夢だったならば覚めなければいい。

私はいつだって、そんな思いと不安に押し潰されてしまいそうだった。



「よっしゃっ!なんか食べようや!」



暗くなる前には戻って来い───と、土方さんには言われていた。


それはある意味それまでは寄り道していいということ。

またこうして初めて出来た友達と関われるようになって、彼なりに気を遣ってくれたんだと思う。



「金まだ残ってるやろ?」


「うん。でも2人で何か食べれるほど残ってないよ」



城下町、朔太郎はキラキラとさせた笑顔で1つのお店を指さした。

お饅頭屋さんだ。

行列が出来ている程だから、人気のお店なのだろう。



「おばちゃんこれ1つ!」


「はいよ!」



再び駆け寄って来た朔太郎は、丸い形をした饅頭を私に差し出す。

でも1つしかない…。



「お前が食べてええよ。ほら、さっき俺のせいで土方さんに説教されちまったやんか…?」



本当はあれは説教では無かった。

それでも照れたようにポリポリとこめかみを掻く少年。


今日は少し優しい日らしい。


たぶん色々あったお詫びを彼なりにしているんだと思う。



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