浅葱色の約束。




「ありがとう朔太郎」



そのお饅頭を受け取って、パカッと2つに割って、片方を朔太郎へと差し出した。



「ええの…?」


「うん。2人で食べると2倍美味しくなるんだよ」



それにさっきの首飾りのとき。
それである意味お詫びはしてもらった。

ううん、本当はこうしてまた仲良く出来ることだけで十分。


これから家族のようなあの場所で、家族のように一緒に暮らしていくのだから。



「ありがとうな梓!」



太陽のようなその笑顔。

私はそんな朔太郎の笑顔が大好きだ。



「優しいお兄ちゃんやね」



通り過ぎる老夫婦は私を見て微笑む。

そんなものに反応したのは朔太郎。



「俺が兄貴や!なんでこいつが兄貴やねん!こんな女っこいの嫌やわ!」


「僕の方が年上だからそれは絶対無理だよ朔太郎」


「お前がいつ兄貴らしいことしてくれた───…いや、してたな。俺と咲を守ってくれたわ…。ええわ、もう俺は弟になるわ」



私がお兄ちゃんで、朔太郎は弟。

こんなにも手のかかって賑やかな弟がいるなんて大変だ。



「じゃあお兄ちゃんの言うことちゃんと聞くんだよ」


「なにがお兄ちゃんや!恥ずかしくてしゃーないわ!」



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