浅葱色の約束。
食べ歩きながらぎゃあぎゃあ騒ぐ私達を見つめては、優しい顔をして笑う町人。
そうして前のように一緒に町を歩く。
大ちゃんや虎吉は居ないけど、それでもまた新しい形となって朔太郎と同じ道を歩いている。
「そうや梓!清水寺の方まで行こうや!」
「…え、遠いんじゃないの…?」
「走れば余裕やって!」
同じ首飾りを揺らして、2つの影は伸びた。
「ほな行くでーーー!俺すっごい景色いいとこ知ってんねん!」
「あっ!待ってよ朔太郎っ!」
そうして本当に朔太郎と清水寺まで行ってしまった私は。
初めての景色にのんびりし過ぎて帰宅した頃、既に烏(からす)の鳴き声さえ聞こえない程に真っ暗で。
「随分と遅いお帰りで」
門の前に腕を組んで立つその男に、ぞぞぞっと全身を襲う寒気と冷や汗。
「ひぃっ!」と、朔太郎は涙目で私の背中に隠れた。
「ちょっと朔太郎…!朔太郎も一緒に怒られるんだよっ!」
「お前俺の兄ちゃんやろ!弟は守るべきや!」
「こんなときに限って言うとかズルいって…!」