浅葱色の約束。




「…沖田さん、」



初めてそう呼んでみれば、そーじは筆を止めた。



「ふふっ、なにそれ。朔らしくないね」


「俺だって小姓や!もう近所の子供ちゃう!」


「…僕は君達には普通に接して欲しいなぁ」



そんなとき、ケホケホと小さな咳が響いた。


それは俺じゃなかった。

だとすれば二人だけのその場所に発信源は1人しか居ない。



「朔が変なこと言うから噎せたじゃん」


「なんで俺のせいやねん!」



なんだ、噎せただけか。

俺の中に一瞬過った不安は空へと消えていった。



「───朔、」


「ん?」


「また梓と仲良くしてくれてありがとね。
…あの子も毎日嬉しそうな顔してる」



あいつの表情の無さはかなりのもんやのに、そーじは分かっちまうのか。

独り言のように呟けば「梓は意外と笑うんだよ」と、返答。


ったく、そーじが一番梓に甘いわ。

あいつは確かに女みたいやし体も強くないらしいけど、男なんやからもっと厳しくすりゃええのに。



< 178 / 464 >

この作品をシェア

pagetop