浅葱色の約束。
「…沖田さん、」
初めてそう呼んでみれば、そーじは筆を止めた。
「ふふっ、なにそれ。朔らしくないね」
「俺だって小姓や!もう近所の子供ちゃう!」
「…僕は君達には普通に接して欲しいなぁ」
そんなとき、ケホケホと小さな咳が響いた。
それは俺じゃなかった。
だとすれば二人だけのその場所に発信源は1人しか居ない。
「朔が変なこと言うから噎せたじゃん」
「なんで俺のせいやねん!」
なんだ、噎せただけか。
俺の中に一瞬過った不安は空へと消えていった。
「───朔、」
「ん?」
「また梓と仲良くしてくれてありがとね。
…あの子も毎日嬉しそうな顔してる」
あいつの表情の無さはかなりのもんやのに、そーじは分かっちまうのか。
独り言のように呟けば「梓は意外と笑うんだよ」と、返答。
ったく、そーじが一番梓に甘いわ。
あいつは確かに女みたいやし体も強くないらしいけど、男なんやからもっと厳しくすりゃええのに。