浅葱色の約束。
沖田side




しまった、聞かれたか。


自室を出た先に立っていた少女に思わずヒヤッとした。

それは雪が降りそうな朝だった。



「温かいお茶…いる…?」



風邪?と聞かないのはきっと、この子なりの気遣い。

だからこそ、ここで頷いてしまえばそれを認めてしまうことになるから。



「ありがとう、でも大丈夫。僕にはちょっとポンコツな小姓がいるから」


「ふふ、ポンコツって…」



そんな唯一の女の子は、日が経つに連れて美しくなっていく。


笑顔も自然と花を開くようになっていって。

変わってしまうことに少しだけモヤモヤと落ち着かない。


ほら、その首飾りだってどこかの少年も同じものを身につけていたし。



「ああ、やっぱりお茶お願い出来るかな」


「うん。ちょっと待っててね」



パタパタと駆けて行く後ろ姿を見送って、静かに襖を閉じる。



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