浅葱色の約束。




「ゴホッ…!ゴホッ!」



いつからだろう、こうして苦しい咳が出るようになったのは。

いつから風邪なんかじゃないと勘付いてしまったんだっけ。


隊士が増えたことにより屯所は西本願寺へと移動した。


広々としていて、だからこそ男ばかりの場所だと埃も溜まる。

たまたまそんな空気を吸ったとき、ヒュッと肺から湧き出るような圧迫感に驚いたのを覚えてる。



「───…血…、」



どうか、これ以上酷くはならないで。

そう思えば思うほど身体は怠さを増して微熱が続いた。



「だいぶお茶煎れるのも上手になったね」


「うん」


「覚えてる?一番最初は僕が教えてあげたんだよ」


「…覚えてるよ」



懐かしむように目を伏せ、静かにはにかむ梓。


あのときは今より背も小さくて何を考えてるか分からないし、そもそもこの子なんなの?って感じだった。

頬に傷があって、転んだだけですなんて言ってさ。



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