浅葱色の約束。
「盗み聞きたぁ偉くなったモンじゃねえか」
「お、お茶を…」
「俺には空(から)に見えるが」
「それはこれから…」
近藤さんに用意したお茶を下げた帰りだったのだ。
たまたま、この前を通りかかっただけ。
苦しい言い訳はどこまで通用するのか、そう考えている間にも土方さんは「早く去れ」と言って、再びその中へ消えた。
なにが明日行われるのか。
幕府へと出向くことや何かの護衛に着くことはいつも公にしていたが、こうして副長と斎藤さんだけで会話をしていることは珍しい。
「まぁ、あんま気にしなくてええんちゃう?土方さんなら何だとしても必ず成功するやろうし」
相変わらず呑気な男だ。
お茶の煎れ方はマスターしたようだけど、こうして平気で掃除をサボろうとする。
屯所が広くなったからこそ大変なのに…。