浅葱色の約束。




「あ、朔太郎、」



ふと、思い出した。



「沖田さん、最近様子が変じゃない…?」


「え、そうか?」



朔太郎、沖田さんの小姓なのに…。


前、少し変な咳をしていたし顔色だってあまり良くない。

風邪でも引いたのかと、お茶にはいつも沖田さんにだけ生姜を少し入れている。


風邪や寒気には良く効くからと井上さんから教えてもらったのは秘密。



「だって沖田さんね、最近───」


「あっすまん!俺ちょっと使い頼まれてるんやった!」



そう言って駆けていく朔太郎は足が速い。

一緒に遊んでいたときからそう思っていた。


声も低くなって、いつか本当に立派な武士になってしまうんじゃないか。


そう思うとちょっとだけ複雑だ。

私が男の子だったらもっと並んで走れたのに。



「速すぎるよ、朔太郎…」



いつもみんなは私の前をどんどん行ってしまって、少し先で振り向いてくれる。

それなのに掴もうとすればピントはぼやけてしまって。



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