浅葱色の約束。
───翌日の夕方、広間にて。
集まった隊士は総出で隊服を身にまとっている。
一通り説明をし終わった土方さんは、チラリと端に立つ私達を見つけた。
「てめえらは待機」
「でも!俺と梓は小姓やん…!」
「これは副長命令だ。聞けねえなら切腹だぞ」
もはや土方さんのその言葉は、都合の良いものにも聞こえてしまう。
それでもここで押しきったら冗談なんかじゃなくなる。
「小姓の仕事やろ…!伝達でも何でも出来るはずや…!」
「足手まといにしかならねえんだよ。死にたくねえなら下がってろ」
土方さんのその表情を見ればわかる。
思わず朔太郎も押し黙った。
京の町に火をつける、だなんて。
長州浪士のすることはよく分からない。
なんの為にそんなことをするの。
土方派、近藤派に分かれてぞろぞろ屯所を出て行く男達。
少し経つと屯所内は一気に静かになった。
「朔太郎、ご飯食べよう」
用意された膳は2人分。
こんなに静かな食事は初めてだった。
落ち着かない様子でそわそわとしてる少年に声をかけてみても、反応はない。
「お前は気にならへんのか!俺達だけ待機なんて…」
「それはなるけど…でも副長命令だから…」
破ったら切腹なのだ。