浅葱色の約束。




出来ればそんなことしたくはないし、帰って来たみんなを迎え入れるのだって立派な小姓の仕事。

近藤さんは私にいつもそう言っていた。



「それに土方さんなら大丈夫って言ったのは朔太郎だよ」


「でも今回はバラバラやん!人数も足りないって斎藤さんだって言ってたぞ!」


「…でも、みんな頑張ってる」



だから私達も言われた通りの仕事をしよう。

沖田さんだって風邪気味なのに、そんな様子を微塵も見せないで出て行ったんだから。



『梓、もし何かあったら山南さんが居るから彼を頼るんだよ』


『うん、沖田さんも気をつけてね。でも沖田さんは強いからきっと大丈夫だね』


『───…そうだね…』


『沖田さん…?』



屯所を出る前、ちょいちょいと手招きされたかと思えば優しい顔をして頭を撫でられた。

どこか様子が変だった沖田さんに問いかけてみても返事はなくて、そのまま背中を向けてしまったけれど。


あのとき何かを伝えたかったんじゃないかと、今も気になって仕方がない。



「そうだ。お前昨日なんか言いかけてたやろ。あれ何だったん?」


「昨日…?」


「そうや、沖田さんの様子がどうって」



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