浅葱色の約束。
とうとう諦めたのか強引に座って膳に手を付け始めた朔太郎。
彼はいつからか沖田さんを「そーじ」と呼ぶことをしなくなって。
それは彼の中でよく遊んでくれるお兄ちゃんではなく、一番組の組長と見方を変えたからなのかな。
「少し風邪気味だって言いたかったの」
「…風邪?」
「うん。ちょっとだけ苦しそうな咳してた」
沈黙が包む。
静かに朔太郎は箸を置いた。
「それ、本当か…?」
「うん」
「…渇いた咳…してたか…?」
そこまで気にして聞いていなかったけど、確かにカスカスとした咳だった。
だからこそ第一声はお茶を用意するか聞いていた訳で。
「うん、普通の咳よりはそんな感じしたかも…」
「なんでもっと早く言ってくれんかったんや!!!」
ダンッ───!!!
勢いよく叩かれた膳は、その場にひっくり返った。