浅葱色の約束。




だったらどうしてあのとき、私は「うん」って言ったの?


そこには誰が映ってた?誰を守りたかった?


あのとき近藤さんがおにぎりを渡してくれたように。

私だって誰かをそんな優しさで助けてあげられるような、そんな人間になりたかったんじゃないの…?



『ただ、その場所なのですが池田屋と───』



変わらなければいけない。
いつまでも手を引かれていちゃ駄目。

時代は待ってなんかくれない。

刀を持つということは、いつも死と隣り合わせにあるのだ。


彼等はそんな中に生きている。

そして私は、そんな彼等の手を掴んだ。



『ここに居なさい』



いつからか、



『俺の子だ』



嬉しい、なんて感情が生まれて。



『また一緒に来ようね』



自分の気持ちを口に出せるようになって。


守りたかったのは。

私が守りたいのはね───…



『家族なんて、そんなものなのよ』



私の大切な、大切な……




「朔太郎…!!場所は、池田屋!!!」




家族────…。








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