浅葱色の約束。




格子の外から照らす月の光。
まるで僕を嘲笑うかのように思えた。


どうしてこんなときに。
今じゃなくて、今日じゃなくて。

隠し通せるものでは無いとわかっていたけど。

それでもあんまりだろう。



「ゴホッ…!!」



いや、本当はわかってたのかもしれない。
これは風邪なんかじゃないって。

とても分かりやすくて、それでいて残酷で。

ほら、運命の歯車はこんなにも簡単に動いてしまった。



「立て……、立てよ……ガハッ…!」



僕は頑張ってきた。
僕は誰よりも強くなる為に努力してきた。

例え虐められたって見下されたって、いつかそいつらを蹴散らしてやれるくらいに。


そこに守るものなど何もなくとも、それでも良かった。



「畜生……っ…、」



これじゃあ役立たずじゃないか。
これじゃあ近藤さんが悲しむだけだろう。

ここまで一緒に来たんだ。
追い付いて来たんだ。


やっと、あの人の隣に立てたんだ。



< 197 / 464 >

この作品をシェア

pagetop