浅葱色の約束。




───動け。

動け、僕の体。


いま動いたなら、もう他に欲しいものなんて無くていいから。

数秒だけでもいい、どうかこの2人を守らせて。

それ以外、もう何もいらない。


沖田 総司、僕は沖田 総司なんだよ。


こんな子供に守られるほど落ちぶれちゃいないだろう。



「うご…け……ッ!!!」



グッと握った刀を相手へと投げつける。

2つの背中の間を通って、少しかすれてしまった少女の髪はパラパラと宙に舞った。



「ぐぁ…!!!」



ゆらりと男がよろけた隙を狙って、すぐに詰め寄って。

飛び乗るかのようにして、浅く刺さっていた刀を奥までぐっとめり込ませた。


こんな姿、本当はずっと君だけには見せたくなかったのに。



「…いずれ…お前も死ぬ……俺1人殺したところで───…お前らなんか武士にはなれねえぞ…」


「…わかってるよ。でもこれが僕の仕事だ。…先に地獄に行っててよ」



男は最後まで不適な笑みを浮かべながら死んでいった。


秘密兵器だなんて、そんなの全部嘘なんだよ。


どうして君みたいな子が新撰組にいるんだ、どうして命をそんなにも簡単に捨てようとするの。

いつも君は気付いたときには僕の前にいて、誰かの為に自分を殺そうとする。



「…そんなの…許さない、」



僕が守ってあげる。

だからもう2度と、もう誰1人、



「そーじ…!」


「沖田さん…!!」



僕の前から消えないで───…。








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