浅葱色の約束。
土方side




駆け付けた時、既に8割は片付いていた。

血生臭い旅館に倒れる浪士の中には同じ隊服を着た仲間の姿。


───池田屋事件。


そう名付けられたほど、この夜の出来事はそれから俺達の名を上げた。



「心配しないでください。安心して寝ているだけですから」



血だらけの総司は膝の上に眠る2人の子供を撫でながら、己に付着した血には何ひとつ触れなかった。

だから俺も薄々感じた嫌な考察など、この瞬間だけでも捨てる。



「今救護班が駆け付けてる」


「大丈夫です。歩けます」



なにがあったってんだ。
俺はこいつらに待機を命じたはずだ。

こんな戦場など見せない為に、命令を下したはずなのだ。

それなのにどうして2人揃ってこの場所に居やがるんだ。



「こいつらに怪我は」


「逆に守られてしまいました」



とりあえず少女をおぶると、後に続いて少年を背中に乗せた総司が階段を降りた。



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