浅葱色の約束。
それだけで彼があまり外へ出ていないことがわかる。
沖田さん、今日ね、今日は私の…
「15歳、おめでとう。…早いなぁ」
僕ももう22歳になったよ───そう言って力無く笑った沖田さん。
出会ったとき、彼はまだ20歳になったばかりだった。
私の時代では成人。
それでもこの時代ではとうに大人。
沖田さんはお兄ちゃんみたいな人。
だけどお母さんのような優しさでいつも私の傍で笑ってくれた。
「ゴホッ…!ゴホッ…!」
「沖田さん、お水…、お薬飲まないと…」
「大丈夫。…みんな心配性なんだから」
手拭いで口元を押さえ、見せないように懐に隠した。
そこにはきっと血が付着している。
本当に労咳という病気なのだと思い知らされるには十分な情報量。
それでも彼は必ず回復して、また一緒にお団子を食べに行くって約束したから。
「梓、朔とは仲良くやってる?」
「…うん」
「朔はああ見えて泣き虫だからさ。出会った頃もちょっとやそっとのことで泣いてたなぁ」
どうしてそうやって懐かしむの…?
まだ沖田さんはここに居るのに、そんな沖田さんは見たくないよ。
まるでいつか終わりが来るんだと、そう言われてるみたいだ。