浅葱色の約束。




「そんな寂しい顔しないでよ。大丈夫、ほら───」



沖田さんはあれからずっと。

私の腕を心臓の前に持ってくると、その鼓動を知らせるようにその音を聞かせてくれる。


まだ動いてる。
大丈夫、止まったりしない。


そう言うみたいに。



「僕は生きてるよ」



変わってあげられたらいいのに…。

私の命とあなたの命を交換することが出来たなら、私は迷わずあなたにあげる。


沖田さんは、生きるべき人。



「知ってる?心臓って1秒間に2回鳴るんだって」



ドクドクドクと、今この人は2回じゃなく3回は鳴っている。


何にあなたは怯えているの…?


沖田さん、皆を心配性だと言っているけど一番不安になっているのは紛れもなくあなたなんじゃないの…?



「…あのね、沖田さん、私ね、」



隠してることが、あるよ。
たくさんたくさん嘘ばかりついてるんだよ。

未来から来たの。

本当は女の子で、1度、死を味わったことがある。


彼は返事はしないまま優しく見つめ返してくれた。



ぜんぶ、わかってるんだよ───って。



そう言われてる気がして。



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