浅葱色の約束。
「沖田さん、また来ていい?」
理由なんか無くても、ただ顔を見たいだけでも。
こうして会いにきて少しお話して。
沖田さんが寝ていたとしても、私はずっと1日の出来事を話すよ。
出会った頃は出来なかったような思い出話もしてみたい。
あなたが見た私を知りたい。
「…もちろん」
伸ばされた腕は私を掴むことなく、スルッと布団の上に落ちた。
そして、目を伏せる。
「梓、…近藤さんをお願い」
「沖田さん…?」
「どうか守ってあげて。…悔しいけど僕はもう───」
冗談なんかじゃない。
彼はもう覚悟をしているのだ。
やめてよ、そんなこと言わないで。
沖田さんは必ず戻って来てくれる。
近藤さんだって待ってるんだよ。
「これからもっと僕の体は今より動かなくなる。そしたら一番組の組長もお役御免。…そうなったら終わりだ」
終わるのは新撰組じゃなく───この人自身なのだろう。
彼が言っているのは命の終わりではなく、生きる理由の終わりだ。
沖田さんの一番はいつだって新撰組と近藤さんだった。
その為なら自分の命なんか見向きもしない人。
「───嫌だ。」
口から出た言葉は子供の我が儘に似た言葉。