浅葱色の約束。




ただ茫然と立ち竦む私。


じっと空を見つめ、後ろは襖1枚しか無いはずなのに。

その厚さがもう2度と取り外せられないくらいに思えてしまって。



「っ…、」



じわっと浮かびそうになった涙を堪え、足音を響かせながら戻った。


ムカつく、沖田さんが、ムカつく。


どうしてあんなことを言うの。
いつも負けを知らないような人が。

冗談ばかり言って誰かをからかってばかりのくせに。


ドン───ッ!



「っ…!」



そんな曲がり角で1人の男とぶつかった。

反射的にしりもちを付いて視界が低くなった私へと、低い声は落ちてくる。



「総司に会いに行って来たんじゃねえのか」


「…行ってきたよ」


「だったら何故そんな面してやがる」



そうだ。
誕生日だ、今日。

15歳の誕生日だったんだよ。

だからこの人だって気を遣って私を沖田さんの元に向かわせてくれたのに。


全然、嬉しくない。


例え夕食に具無しのおにぎりが出されたって、きっと嬉しくない。



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