浅葱色の約束。




「───…ムカつく…」



ポツリと吐き出してしまった。


言葉にしてしまったら一瞬スッキリするけど、それ以上にまた溢れてくる。

それでも誰も居ない暗い廊下が全部隠してくれる気がして。



「ムカつく…っ、沖田さんがムカつく…っ!」



ポロポロとこぼれる言葉と一緒に、私の瞳からも同じように流れる。



「こんな誕生日嬉しくない…っ、こんなの嫌だ……っ」



もういっそのこと土方さんに叱られたいとも思った。


「喧しい」「うるせえ」とでも言ってくれれば、こんな我が儘なんかすぐに消えてなくなるだろうから。



「沖田さんになんか会いに行かなきゃ良かった…っ!」



そうすればこんな思いしなかった。

今日じゃなかったら、彼だってあんな言葉を言わなかったかもしれない。


私が、初めて誰かを責めた。


赤ちゃんだった私を捨てたお母さんのことも、顔すら知らないお父さんのことも責めたことがなかったのに。



「沖田さんなんか嫌い…っ、あんなこと言う沖田さん嫌い、…きらい…、」



これは初めてのこと。

私は今かなり腹が立っていて、怒っている。


文句と我が儘と、どうしようも無い感情を全然関係ない人にぶつけてしまっている。

そんな自分に一番嫌気がさす。



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