浅葱色の約束。




そしたら一緒に隣を走れた。

刀だって握れた。

朔太郎の腕を引っ張れるような、沖田さんに「なに言ってんだ」って言えるような。


そんな男の、本当の隊士になりたかった。



「…お前全然わかってねえな」



土方さんは呟くと、困ったように眉を寄せて優しく微笑んだ。

そしてポンポンと頭を叩いてくれる。



「今のまんま、お前が変わらずここに居てくれるから俺達も俺達で居れてんだよ」



ぐいっと乱暴に私の涙を拭った。



「それに愚痴なんてお前の顔見りゃ吹き飛ぶ」



そして彼は再び優しい顔に戻し、真っ直ぐ見つめてくれる。

何かを私に教えようとしているよう。



「それからな。…それが“寂しい”っつうことだ」



それは初めて彼等に会ったときに聞いていた感情の名前。

私がわからなかった、その名前。


その言葉がやっと再びこの場で出てきたとき、もう「なぁに?」なんて言えない。


だって分かってしまったから、その意味が。



「ったく、寂しいなら最初からそう言えってんだよ」


「わっ…!」



わしゃわしゃと撫でられる。

さっきまでの気持ちが一気に消えてゆくような感じがした。


初めての感情をこの人が教えてくれた。

この場所が、教えてくれた。



< 224 / 464 >

この作品をシェア

pagetop