浅葱色の約束。
そしたら一緒に隣を走れた。
刀だって握れた。
朔太郎の腕を引っ張れるような、沖田さんに「なに言ってんだ」って言えるような。
そんな男の、本当の隊士になりたかった。
「…お前全然わかってねえな」
土方さんは呟くと、困ったように眉を寄せて優しく微笑んだ。
そしてポンポンと頭を叩いてくれる。
「今のまんま、お前が変わらずここに居てくれるから俺達も俺達で居れてんだよ」
ぐいっと乱暴に私の涙を拭った。
「それに愚痴なんてお前の顔見りゃ吹き飛ぶ」
そして彼は再び優しい顔に戻し、真っ直ぐ見つめてくれる。
何かを私に教えようとしているよう。
「それからな。…それが“寂しい”っつうことだ」
それは初めて彼等に会ったときに聞いていた感情の名前。
私がわからなかった、その名前。
その言葉がやっと再びこの場で出てきたとき、もう「なぁに?」なんて言えない。
だって分かってしまったから、その意味が。
「ったく、寂しいなら最初からそう言えってんだよ」
「わっ…!」
わしゃわしゃと撫でられる。
さっきまでの気持ちが一気に消えてゆくような感じがした。
初めての感情をこの人が教えてくれた。
この場所が、教えてくれた。