浅葱色の約束。
「茶ぁ煎れてくれるか。それと、お前に頼みてえことがある」
「…頼みたいこと…?」
「丁度お前に任せたかった仕事だ。誕生日だろうが異論は受け付けねえぞ」
そして土方さんにお茶を煎れて、そのあと頼まれた仕事というのは。
「いい感じに凝ってますねぇお兄さん」
「あぁ、仕事漬けだったんでな」
トントンと机に向かう肩を叩く。
初めてのことだったから力加減も全然わからなかった私に、土方さんは何も言わずお茶を啜っていてくれた。
「これ、近藤さんにもやってあげたら喜ぶかな…?」
「泣いちまうんじゃねえか」
「ふふっ」
その日は本当に具無しのおにぎりが用意されて、私は土方さんの部屋で食べた。
その人もずっと机には向き直っていたが、私の話に相槌を打ってたまに笑ってくれて。
「梓っ!すまない遅くなった!誕生日おめでとう!」
近藤さんは汗だくになって駆けつけてくれるものだから。
彼にも肩叩きをしてあげれば、本当に少し泣いていた。
15歳の誕生日───2回目の、誕生日。
鬼の副長の隠れていた本当の優しさが初めて見れたような気がした。
それが何よりのプレゼントだった。
*