浅葱色の約束。
僕は変わった、僕は強くなった。
人だって簡単に斬れるようになった。
それなのに幼少期の名前で呼んでくれる近藤さんだって、田舎の貧乏道場にいた頃の「若先生(わかせんせい)」と何も変わっていなくて。
「っ…、僕、梓に酷い言葉を言ってしまったんです…」
嫌われても仕方がない。
僕はいずれ居なくなるよ、君より先に死ぬんだよ、病気なんか治らないんだ。
そんな言葉を目の前で言ってしまったんだから。
いつもの冗談で隠してしまえば良かった。
それも嘘だよ、あれも嘘だよ、あははって嗤えば良かったのに。
「どうしよう近藤さん…っ、どうしよう、せっかく僕にも……大事なものが出来たのに…っ」
家族みたいだなぁって思っていた。
試衛館に預けられた幼い頃、僕は捨てられたんだって周りを憎んで恨んで。
両親と手を繋いで歩く同い年の子供達を見つめてはつまらなくて。
そんな僕をいつも肩車してくれるのは近藤さん、ちょっかいを出してくるのは土方さん。
そして気付いたらたくさんの仲間に囲まれていた。
「大丈夫だ宗次郎。梓のことはお前も良く知っているはずだろう?」