浅葱色の約束。




僕にとって近藤さんは家族。
土方さんも家族。

井上さんだって平助だって朔太郎だって家族。

僕にはここしかない。


そして梓は───僕だった。



「そういう部分を見せねえお前が嫌いだと言ってんだあいつは」



これは僕のずっと隠している部分だった。

捨てられることにいつだって怯えて、人を斬ることすら躊躇ってしまうような僕。


それでも1つ1つ守りたいものが出来る度に強さを身に付けた。

そしてそんな強さがいつからか、自分自身をも殺してしまうんじゃないかと怖くて。



「僕を捨てないでください、お願いします近藤さん土方さん…、必ず役に立ちますから……剣として最後まで役に立ちますから…っ」



だから捨てないでください───。


絞り出した声は2人しか知らないもの。

こんなのが一番組の組長だなんて笑ってしまう。

だから僕は梓の強さがいつも羨ましかった。



「…初めてじゃないか、トシ」


「あぁ」



情けなくも懇願する僕とは真逆の反応を2人は見せた。

どこか嬉しそうな近藤さんと、わしゃわしゃと乱暴に頭を撫でてくる土方さん。



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