浅葱色の約束。
小姓
女の人だと思った。
とても綺麗な人…。
長い髪に白い肌、スラッと伸びた手足に、妖艶な瞳。
男ばかりだ、と言っていた近藤 勇が嘘をついたのかとその時だけ思った。
「野良猫を拾ってくる総司の方がまだマシだぜ」
腕を組んで目の前に立つ存在が男だと理解した理由は、想像していたよりも声が低く、寄せられた眉がとても怖かったから。
近藤 勇に連れてこられた場所は大きくも小さくもない1つの屋敷だった。
日本家屋───そんな言葉がぴったりの門を静かに潜った足音に、待ち構えていたのは腕を組んだ眉目秀麗な男。
「情にでも駆られたか。ったく、例えここが人手不足だろうが誰彼構わず拾ってくりゃいい訳じゃねえんだぞ」
「俺が責任を取る。まだ子供だが、あと数年経てば立派な武士になれるはずさ」
「そもそもだ。…こいつ、女だろうが」
「───なに…っ!?」
度肝を抜かれたように見つめ、困ったなあと呑気に笑う近藤 勇。