浅葱色の約束。
ただがむしゃらに屯所に上げたはいいものの、そんなこと許せるはずがねえだろ。
新撰組は平気で規律を破る組織だなんだ言われては仕方がない。
それでも女にはもう時間がないようだった。
駆けつけた女中の1人は、妊婦をとりあえず寝かせる。
「どれくらいで産まれそうなんだ」
「あかん、もう足が出てはるわ!副長さん逆子や!すぐ準備せな!」
薄い布団を腹下に掛けて唸り声を上げる女の股を覗いた女中は、その行為だけで額に汗をかいた。
出産は命懸け。
なんでこんな時に会いに来たんだよ…と思ったが、そんなこと気にしてる時間すら残されていないらしい。
「お願いします副長…!!」
「…ったく、わぁーったよ。但し、素人がやるんだ。母子の保証は無いと思え」
「は、はい…!」