浅葱色の約束。
すぐに一部屋立ち入り禁止にし、女中1人、妊婦1人、夫である隊士、そして俺と近藤さん。
ただそれだけで出産を手伝うなど。
今すぐ蘭方医やら産婆を呼ぶべきなのだろうが、女の様子は既に苦しそうで。
「あの、鈴(すず)は助かるんでしょうか…!」
「今からやるんや!男ならガシッと構えとき!!」
「は、はい…!!」
俺も近藤さんも同じように顔半分を手拭いで隠す。
しっかり手を洗って、母体へ近付こうとすれば。
「女やないとここはわからんわ!局長さんも副長さんも失神したくなかったら離れててくださいな!」
出産は女にしかわからない、男はただ祈るだけ。
そうよく言うが。
女中はどうにか赤子を出そうとするが、母親の容態からして力(りき)みが少なすぎる。
慣れない音が響くと、女はそれ以上に悲鳴を上げた。
「ううぅぅぅ…っ…!!」
「頑張るんや!ほな吸って、───力んで!」