浅葱色の約束。
「もう足は出てる、それで胴体も…、でも手が、…どうしよう土方さん……」
途端にその手は一気に震え出した。
カタカタと全身が震え出し、女中も思わず駆け寄るが、その眼差しに期待の色は無かった。
「…あかんわ……もう、無理や」
「なにを諦めてやがると」と、言おうとしたが。
「───…」
梓も力を加えることを辞めた。
これ以上無理矢理したことで余計に惨い結果にはしたくないのだろう。
だったら母親の腹の中で…と、誰もが願っている。
もう妊婦側の力みも皆無に等しい。
「……ごめん…なさい…、駄目だった…っ、やっぱり駄目だった……っ」
ポロポロとそいつの瞳からは大きな雫が垂れて、頬に付着した血を流した。
沈黙が包む。
「私が…殺した…っ、赤ちゃん、殺しちゃった…っ」
さっきまであんなにも音を出していたというのに。
赤子が酸素を吸う泣き声だって聞こえた。
母親の懸命な悲鳴も聞こえた。
それなのに、今はものすごく静かだ。