浅葱色の約束。
梓は涙を拭って再び瞳に魂を宿した。
もう1度その場所へと、震える手を伸ばす。
そこに近藤さんの手も加わって、必死に命を繋ごうとしていた。
そんな2人は親子に見えた。
「近藤さん、母親を起こして欲しい…っ、力めば出てこれるかもしれない…!」
「あいわかった!」
近藤さんは再び母親の元へと移動し、肩を揺すって声をかけて何度も意識を戻す。
そんなものを俺はただ黙って見つめることしか出来なかった。
「ふ…っ…ぁぁぁぁ…っ」
微かな赤子の声───。
咄嗟にその声へと駆け寄った。
広がる光景に思わず絶句しそうになったが、それでも確かに赤子は生きている。
母親もいつの間にか目を覚まし、唸り声を上げた。
「…あれ……あれ…っ、」
掴もうとしてもスルッと抜けてしまうのだ。
梓の細い腕がもっともっと細いその中へと手を伸ばし、またそれ以上に小さな体へ触れようとしても。
震えるその手が上手く掴めないでいる。
「梓…!もう時間が無いぞ…!」
「わかってる…っ!」