浅葱色の約束。
ビチャッ───!
再び中から血が飛び出したとしても、構うことなく梓は震える手を動かすが。
「赤ちゃん…温かいの…。土方さん、それ触ったら……壊しちゃいそうなんだよ私…」
今になってどう触ればいいか戸惑い始めた。
最後の好機だからこそ、失敗したときのことを考えたのだろう。
救えなかったとき、こいつは自分の中で赤子を殺してしまうと解釈してしまっている。
「…お前は今までだってたくさんの命を救って来たじゃねえか」
気づけば俺は梓の体ごと背後から包み込んでやるように、その場所へ手を伸ばした。
その震える腕に同じように重ねて。
すると梓の全身の力が一瞬ふっと抜け、再び腕に力がこもる。
「大丈夫だ、俺が支えといてやる。お前は赤子を救うことだけを考えろ」
「もし…救えなかったら…?」
出会ったときより俺に近付いたその身長。
いつの間にこんなに大きくなってたんだお前は。
そんな耳元にそっと唇を寄せ、俺は少し笑った。
「救える。俺はお前を信じてる。だから梓、お前もてめえを信じろ。
もしそれが出来ねえんなら、…お前を信じてる俺を信じとけ」
「これは副長命令だな」と付け足せば、梓はコクコク頷いて「うんっ」と柔らかな返事を俺へ返した。
そうして───…
*