浅葱色の約束。
第三章
残酷
夢を見た───…。
そこはどこかの家。
リビングがあって、ソファーがあってテレビがあって。
それは現代の生活に困らないものだけが揃っている場所で。
『物騒ねぇ…まだ13歳だって』
『でもこの子、凄いよ』
ニュース番組に出された名前は“時折 梓”という文字。
映像に写されたのは酷い事故現場。
トラックの下に敷かれたビニールシート。
端でわんわんと泣く小さな女の子は、母親の腕に抱かれていた。
『だってさぁ、この女の子を助けたってことでしょ?トラックに自ら身を投げて』
誰の記憶の中を覗いているか分からない。
まるで見覚えしかないような映像を客観視している自分。
紅茶を啜りながらスナック菓子を手にしている若い女の子。
『ヒーローじゃん。孤児のイメージ変わったわ』