浅葱色の約束。
「……小姓なのに…」
なにも出来なかった。
ここのところずっとだ。
小姓らしいことなど何1つ出来ない。
本当はそんなもの彼からしても名ばかりのものだってこと、そんなの最初から分かっていたけど。
それでも盾になるくらいなら出来たはずだ。
「沖田さんと、約束したのに……」
近藤さんをお願いって、そう言われたのに。
あの時は簡単にうんって言えなかったとしても、もちろん出来る限りのことはするつもりだった。
沖田さんの分まで私が守るんだって。
「近藤さんが撃たれたって…!!」
「沖田さん…!!」
駆け付けた沖田さんをすぐに支える朔太郎。
眠る近藤さんを見つけると、目を見開いて悔しそうに唇を噛んだ。
「僕も……僕も、戦います」
駄目だよ、沖田さん。
今のあなたはまだ回復していない。
「死ぬなら…戦で死ぬ方が本望だ」
そんな哀しいことは言っちゃ駄目なんだよ沖田さん。
死なない、あなたは死ぬような人じゃない。
病気にも戦にも負けるような人じゃないはずだ。
それでも誰もが「頼む」と、沖田さんを見なかった。