浅葱色の約束。
その人はよく空を見つめていた。
ずっとずっと高い空に浮かぶ雲や小鳥。
夜空の月や星を見つめ、そこにどんな思いを乗せているのかは誰にも分からない。
「───もう決めてるんでしょ、梓」
振り向かないままの投げ掛けは、真っ直ぐに私に届いてきた。
夜風が涼しい。
髪を揺らし、伏せられた彼の睫毛がキラキラと光っているように見えた。
「沖田さんに言われたこと…守れなかった」
あれからこうして話をするのは1年ぶりくらいだろうか。
15歳の誕生日以来、時間はとてつもない速さで進んでいった。
「あれは…僕も、ごめん。色々受け止められなくて八つ当たりしただけなんだ」
本当は沖田さんの具合はいつも心配だったから幾度か部屋の前まで見に行っていたけど、それでも朔太郎に全て託した。
私は私のやるべきことを。
朔太郎は朔太郎として。
「僕のこと…嫌いになった?」
「え…?」
「土方さんから聞いた。嫌いだって泣いてたんだって?」
「あ…それは……」
不安気に見つめてくる。
嫌いじゃない。
嫌いになんかなれない。
だって私達は、家族だ。