浅葱色の約束。




近藤さん達を見送って、新撰組は休む暇なく撤退の準備をし出す。


撤退とは、この奉行所から拠点を変えるということ。

すなわち退くということだ。

新政府軍はすぐそこまで迫って来ている。


きっと移動途中にも追っ手は来ることだろう。



「全員後ろを振り向かず走れ───ッ!!」



追いかけてくる大砲や銃声の中、土方さんは隊士を率いて淀城へと向かった。

今度の拠点はそこになる。


命の保証はされない。


それをわかっているからこそ私もただ走るしかなかった。

土方さんの背中に遅れないよう、その浅葱色を追いかける。



「うああっ…!!!」



隣を走っていた兵士が右足を撃たれ、その場に崩れる。

中には地雷を踏み、爆発する中の叫び声も響く。


走らなきゃ、走らなきゃ。



「っ…!!」



そう思うのに、ガシッと片足を捕まれてしまえば囮に捕まった兎。

その場に反射的に転んでしまって。



< 270 / 464 >

この作品をシェア

pagetop