浅葱色の約束。
近藤さん達を見送って、新撰組は休む暇なく撤退の準備をし出す。
撤退とは、この奉行所から拠点を変えるということ。
すなわち退くということだ。
新政府軍はすぐそこまで迫って来ている。
きっと移動途中にも追っ手は来ることだろう。
「全員後ろを振り向かず走れ───ッ!!」
追いかけてくる大砲や銃声の中、土方さんは隊士を率いて淀城へと向かった。
今度の拠点はそこになる。
命の保証はされない。
それをわかっているからこそ私もただ走るしかなかった。
土方さんの背中に遅れないよう、その浅葱色を追いかける。
「うああっ…!!!」
隣を走っていた兵士が右足を撃たれ、その場に崩れる。
中には地雷を踏み、爆発する中の叫び声も響く。
走らなきゃ、走らなきゃ。
「っ…!!」
そう思うのに、ガシッと片足を捕まれてしまえば囮に捕まった兎。
その場に反射的に転んでしまって。