浅葱色の約束。
「全員退け!!転向する!!」
この道を行けば早く淀城へと向かえたが、こうなっては仕方がない。
少々遠回りだとしても細く目立たない道を通って安全策を取る方が優先だ。
大勢の仲間は命令した通り、路線を変えた。
「もう少しやから踏ん張るんやで梓…!!城についたら手当てしてやるから…!!」
「うん…」
わざわざ朔太郎は後方を走る俺達の元へと合わせて来た。
梓を抱える役目を代わるとまで言ってきたが、俺は何故か断った。
「やはりこちらの経路にして正解だったようですね副長」
「あぁ。まさか錦の御旗が掲げられるとはな」
斎藤 一(さいとう はじめ)は新撰組の戦力として必要不可欠の男。
そのまま先頭を任せ、俺は後ろを歩く。
「…もう幕府も信用ならねえな」
とりあえず小道に紛れることは出来たらしい。
既に辺りも暗くなっており、これ以上新たな敵が現れることはないだろう。
もう少し歩けば城は見えて来るはず。
「梓大丈夫か?足はまだ痛むん?」
「大丈夫だよ朔太郎。…土方さん、僕もう歩けそう」
「大人しくしてろ。また転ばれても迷惑だ」
「そんな言い方ないやん!梓こんなに頑張ってるんやから…!」
朔太郎は梓の頭をポンポンと叩く。
いつの間にか少女の背を抜かしている少年。
こいつももう元服か…。
元服したら刀を持たせるとの約束だったが、こいつはこのまま梓の傍に居てくれる方が助かる。