浅葱色の約束。
「…ごめん…、ごめん、梓…」
僕の責任だと思った。
下の者の失敗は上の者の責任だと、ずっと言っていたのは僕。
それは梓を女の子だとは見破られないようにする僕なりの守り方の1つだった。
それでも今、そんなものが裏目に出た。
「追い付くって…言ったじゃんっ…!ぼく、と……、」
「僕」じゃないよ、梓。
君は女の子なんだよ。
女の子なんだよ、梓は。
「僕と一緒に……武士になるって…言ってたのに…っ!!」
約束したのに───。
だから池田屋に来たの?
だからあのとき、逃げなかったの?
武士になるなんて僕達みたいなことを言って。
「…ぅぅ……ぅぁぁ…っ、」
呼吸が乱れ、ひれ伏す梓の元に近藤さんは駆け寄ろうとするが。
それより先に僕達の前に立ったのは土方さんだった。
「会津公は無事なのか」
「はい…。今は安全な場所に匿っています」
「…そうか」
1人の兵士に「去れ」と命令した。
そんな土方さんは地面に落ちた首飾りを拾うと、梓ではなく僕の前にそれを差し出す。
「あいつは最期までてめえの小姓として全うしたんだ。
───これは総司、お前が持っていろ」