浅葱色の約束。
初めて言ったその言葉。
お母さんにもお父さんにも言ったことが無い言葉。
園長先生にだって、お世話してくれる保母さんの人にだって。
ありがとう───それだけはどうしてか言えなかった。
「…ここは確かに人斬りと恐れられているが、本当は皆優しくて良い奴ばかりなんだ。
トシだってああ言っていたが、そんなこと実際は思ってないはずだよ」
襖から射し込む月の光がすごく綺麗で、私はただ静かに見つめていた。
もしここが「ただいま」と言えるような帰る場所になってくれるのなら、どんなに幸せだろう。
どうしてかそんなことを思った。
「君次第で、全てが変えられる」
近藤さんはそう言って部屋を出て行った。
今日はとても濃い1日だった。
布団に倒れこむように身を預けてしまえば、すぐに夢の中へと───。