浅葱色の約束。




『そーじ?俺の下僕にしてやる!』


『そーじ!咲が最近そーじが来ーひんって元気あらへんねん』


『俺、新撰組に入りたい。必ず武士になって咲を迎えに行く』


『沖田さん!!どこや…!』


『どんなに斬られようが土方さんが来るまで絶対に耐えてみせる!!』



「…っ、」



あれ、なんで止まらないんだろう───…。


妹を迎えに行くんじゃなかったの。
咲ちゃんは朔をずっと待ってるよ。

なに、勝手に死んでるんだよ。

1度でいいから僕は梓にするみたいに、だけど本当の弟にするみたいに。


君の頭を撫でてやりたかった。



『そーじ!』



なんていつも呼び捨てしてさ。

生意気なんだよ、本当…。


僕より先に死ぬなんて、生意気なんだよ。



「…朔、お前は…立派な武士だよ」



浅葱色の首飾りを首に付け、僕は再び梓を見つめた。

踞って涙を流す少女はとても小さくて弱くて、握りしめた拳は何よりも小さいのに。



『沖田さんっ!!』



そんな君達に助けてもらってたんだね僕は。


伸ばしかけた腕はその少女を掴むことは出来ず。

目線を合わせるように膝を落としたかと思えば、その腕を引いて胸に引き寄せたのは土方さんだった。




「───泣け。」




ただそれだけ。

優しい言葉をかけてやるわけでもなく。



「いいから泣け。」



全くあなたって人は。

こういう時くらい、もっと他の言葉をかけてあげられないんですか。


…僕だったら。


僕、だったら───…



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