浅葱色の約束。
おいおい、こんなの聞いてない。
会津藩を囲うように、その倍の人数の兵士が銃を構えながら道を塞ぐ。
逃げ場がないやんか…。
ああ、そうか。
戦うしか選択はないのか。
「ぐはっ…!!」
「うわぁぁ…っ!!」
どんどん倒れていく味方。
目の前は一瞬にして血の海となる。
別に震えているわけやない、怖いわけやない。
ただ1人で井上さんを、会津公を守れるかと不安が頭を過るだけや。
もう半分以上の味方が死んでいる。
「…朔太郎君、」
井上さんは傷を押さえながら何とか立ち上がると、俺に耳打ちをした。
「逃げなさい。」
目で指図した小道は、この襲撃の中を利用すればバレずに通ることが出来そうだ。
「君にはまだ未来がある。このことをトシさんに知らせるんだ」
なにを言ってるんだよ井上さん。
あなたを守ってくれと沖田さんから言われたんや。
俺だって男や。
逃げるなんて、そんなことしたらずっと俺は変われないままだ。
あの父親の元でペコペコと頭を下げていた頃のガキと何ら変わらない。