浅葱色の約束。




「…俺は逃げへん」


「なにを言ってるんだ!」


「だって、…俺は───…新撰組やから」



梓、ごめんな。

約束守れそうにないわ。


俺、ちょっとだけ遅れちまうかもしれへん。



「なら私の後ろに隠れなさい」


「井上さん。俺はもう、子供ちゃう」



咲、兄ちゃん最低だ。

お前を迎えに行くのもすごく遅くなっちまうらしい。


でも兄ちゃん、ちゃんと武士になれたで。



───パァン!パン…ッッ!!



「ぐっ…!!」



銃弾が脇腹に2発。

止まるな、走り続けるんだ。



「ぐはぁっ…!!」


「このガキ…っ」



それでも斬れたのは2人だけ。



「朔太郎君……!!!」



あぁ…目がくらむ。

地面に倒れた俺に向かってくる兵士の影。



「ヒュ…ッ、…はーーー……」



息が出来ない。


腹が───…いてぇ…。


梓……。

あずさ、おれ、……もうだめみたいや…。



「なにか言い残すことはあるか」



言い残すこと…?

ばっかみてぇ。



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