浅葱色の約束。
用意された袴は意外にもぴったりと体にフィットしていた。
地味な色だが、嫌いじゃなかった。
鏡に映る自分はこう見ると完全に男の子だ。
『女の子だと勘づかれないようにしなくては』
翌朝申し訳なさそうにそう言った近藤さんは、着物ではなく袴を私の前に差し出した。
聞くところに寄れば、ここは女性は立ち入ってはいけない場所らしく。
例え子供だとしても隊規が乱れることは絶対にしてはいけないらしい。
厳しいルールもあって、破れば切腹。
きっとそれを考えた人は昨日の綺麗な男の人に違いない。
「───入るぞ」
静かに部屋で待っていた私に声がかかる。
「ついて来い」
眉間にシワを寄せた男は袴姿の私を前にしても何も言うことなく、再び背中を向けてしまった。
「そこ、床が外れてる。落ちても知らねえからな」
「わっ…!」
「チッ、面倒くせえ。…ガキの世話は俺じゃなく総司の仕事だろうが」