浅葱色の約束。




「…どうして…、江戸に戻っちゃうの…?」


「どうしてって。当たり前だろう?」



戻ってくると思ってた。


というより、この人は意地でも江戸には帰らないって思っていたのに。

あんなにも簡単に言ってしまえるくらいなら、どうしてあのとき土方さんの胸ぐらを掴んだの。



「病気は治らない、刀は持てない、同行することも不可能。それでどうやって戦えって言うのさ」



───チャポンっ。


池の中に泳ぐ鯉が跳ねた。



「私だって刀は持てない、ろくに戦えない、正直迷惑ばかりかけてる。それでも…戦えてるよ」



戦えているかはわからないけど…。



「君は別でしょ」


「別…?」


「だってあの人の栄養材みたいなものだからね」



全然おもしろくない。

沖田さん、いつからそんなこと言うようになったの?


土方さんは逆に私を邪魔だと本心では思ってるはずなのだ。

いつも足を引っ張るお荷物だと。


それでもきっと私に変な情を持ってるから。



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