浅葱色の約束。




私を見捨てられないのは、決して傍に置いておく理由があるからじゃなくて。


ただ、責任を感じているだけ。


たまたま拾ってきた生き物を最後まで面倒見るのと同じ。

拾ってしまったから、受け入れてしまったから。

だから簡単に捨てることは良心が許さない。


ただ、それだけだから…。



「どうしてそんな顔してるの。土方さんが居るからいいだろう?」


「どうしてそこで土方さんが出てくるの?」


「どうもこうも」



なにが言いたいのかサッパリわからない。

土方さんが居れば確かに何よりも心強い。

それだけで安心で、私だって土方さんを守りたいと思っている。


でも沖田さんだって、あなたがいたらもっと安心するのに。

沖田さん独りぼっちになっちゃう。



「…いかないで」



ここに、居ればいい。


わざわざ江戸に帰ることなんてない。
だって今までだって何とかやってきた。

ずっと一緒に行けなくても、その近くまでなら行けるはずだ。



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